Trustpilot(トラストパイロット)というサービスをご存知でしょうか。Trustpilot(トラストパイロット)は、オンラインで企業や商品のレビューを投稿・閲覧できるプラットフォームです。消費者が製品やサービスについての評価や感想を共有し、他のユーザーに情報を提供することを目的としています。デンマークのコペンハーゲンに本社を置き、ロンドン、ニューヨーク、デンバー、ビリニュス、ベルリン、メルボルン、エディンバラ、ミラノ、アムステルダムにオフィスを構えています。
レストランを探すとき、映画を観るとき、旅行に行くとき、家電製品を探すとき、私は必ずレビューをサイトや、サイト内のレビューを見てしまいます。気づかずにレビューを検索したりしているのでもう無意識と言っても過言ではありません。レビュー以外にもSNSの口コミを読んで購入することも多いですよね。それほどにレビュー・口コミのパワーは強大です。
ところで、今回紹介するTrustpilotは北欧・デンマークの企業です。SpotifyやUberの競合となるBoltやWoltなど北欧・バルトのIT企業がグローバル化が進んできているなと実感しました。Trustpilotも日本にオフィスは構えていないようですが、Trustpilotは日本にローカライズされており、日本語でレビューを読み、利用することが可能です。
Trustpilot主な機能と特徴
- レビューの投稿と閲覧:
Trustpilotはユーザーが企業や商品に関するレビューを投稿できるプラットフォーム。ユーザーは経験や意見を共有し、評価を付けることができます。そのレビューが他の消費者にとって有益な情報を提供します。一方で、他のユーザーはこれらのレビューを閲覧して、製品やサービスについての意思決定を支援するための情報を入手できます。 - 信頼性と透明性:
Trustpilotは、公正で透明なレビューを提供することを重視しています。そのため、信頼性の高い評価やレビューを得るためのガイドラインを定めており、虚偽の情報や偽のレビューを排除する努力を行っています。 - 企業との連携:
企業もTrustpilotを活用して、顧客の声を収集し、サービスや製品の改善を行うことができます。また、企業は自社のTrustpilotページを管理し、顧客からのフィードバックに対して返信することも可能です。 - スターレーティングシステム:
Trustpilotのレビューは、通常、星1から5の段階で評価できます。ユーザーは一目で評価の高さや低さを把握することができます。 - グローバルに展開:
前述した通り、Trustpilotはグローバル市場に展開しており、様々な国と言語に対応しています。これにより、日本のユーザーでも海外の企業やサービスに関するレビューを確認・共有することができます。
Trustpilotの導入状況(ヨーロッパと日本)
Trustpilotのサイトでは企業名やカテゴリーからレビューを検索することもできます。
Trustpilot 日本版 ( https://jp.trustpilot.com/ ) では日本語対応されており、以下のカテゴリーと企業名から検索することが可能です。
企業のカテゴリー (2023/08/20時点)
- イベント・エンターテインメント
- 住まい・ガーデニング
- 教育・研修
- ショッピング・ファッション
- 住まいのサービス
- 旅行・休暇
- スポーツ
- 健康・医学
- 美容・健康
- ビジネス サービス
- 公共サービス・地域サービス
- 趣味・工芸
- 公益事業
- 金融・保険
- メディア・出版
- 動物・ペット
- レストラン・バー
- 司法サービス・政府機関
- 電子機器・テクノロジー
- 乗り物・運輸
- 建設・製造
- 食べ物・飲み物・タバコ
カテゴリーをクリックすると、そのカテゴリーの企業が一覧で表示され、サイドメニューから絞り込むことが可能です。
例えば、「ショッピング・ファッション」カテゴリで日本が所在地の企業ショッピング・ファッションの企業検索してみると、全体で78件がヒットし、企業ステータスが確認済み(身分証明などの追加的な情報を確認した企業)で絞り込むと25件、Trustpilotのプロフィールを登録済みで絞り込むと72件でした。日本だとまだまだ参加している企業や口コミが書かれている企業は少ないようです。ではヨーロッパの国々だとどうなのでしょう。Trustpilotはデンマーク発の企業なので、ヨーロッパで普及しているのではという想像のもと、GDP上位のドイツ、イギリス、フランスも同じカテゴリーで調べてみました。
本社+ヨーロッパGDP上位3位の「ショッピング・ファッション」のカテゴリで検索してみた結果
- デンマーク(本社):6,623件
- ドイツ:4,093件
- イギリス:10,000件
- フランス:3,975件
イギリスが突出して多く、ドイツがその半分以下でデンマークよりも下回るという結果になりました。ちなみにTrustpilotの多言語対応は以下の言語でした。上記4カ国は対応しているので、言語の対応可否が件数に影響を与える訳ではないようです。企業数や国民あたりの小売店の充実度、国民性、競合サービスの有無など更に深掘りしてみないと国別の件数の違いについては分からなさそうです。
Trustpilotが対応している言語(50音順 ※2023/08/20時点)
- アイルランド
- アメリカ合衆国
- イギリス
- イタリア
- オーストラリア
- オーストリア
- オランダ
- カナダ
- スイス
- スウェーデン
- スペイン
- デンマーク
- ドイツ
- ニュージーランド
- ノルウェー
- フィンランド
- ブラジル
- フランス
- ベルギー
- ポーランド
- ポルトガル
- 日本
日本で導入しているサイト例
たまたま私がネットサーフィンをしていてTrustpilotが導入されていた企業は以下です。
Casetify
Casetifyのサイトの下でTrustpilotの評価が確認できるようになっています。
Holafly
こちらはeSIMを探していたらたどり着いたサイト。ヒーローイメージの左下にTrustpilotのレーティングが表示されています。
Trustpilotが抱える課題
Trustpilotが現在注力してるのは、偽レビューやサクラレビューの撲滅です。Trustpilotのように実在する本当の人間が書いたレビューであれば、良いレビューも悪いレビューも歓迎するという姿勢を保っています。一方で門戸を開くと、一部の批判的な意見や問題も存在するのが実情です。偽のレビューや評価の操作、悪意のある評価などが問題となることがあります。Trustpilotはこうした問題に対処するため、信頼性を維持するための取り組みを行っています。
Trustpilotの公式サイトによると以下の取り組みを24時間体制で取り組んでいるそうです。
- プラットフォームを保護しているスタッフ:88人以上
- 削除された偽レビュー数 : 270万件以上(2021年)
- 自動システムのレビュー分析:平均10万件/日
- フラグが立てられた不審なレビューの月次件数:9,000件以上
- 消費者は偽と思われるレビューにフラグを立てることができ、Trustpilotはそれらを調査するそうです
エージェントと法律専門家がガイドラインを公正かつ平等に適用する一方、技術チームは不正行為撲滅に必要なツールとアルゴリズムを常に改良し続けています。
Trustpilotに記載の内容を要約 ( https://jp.trustpilot.com/trust/combating-fake-reviews )
また、Forbesの昨年2022年8月2日の記事『「偽レビュー」追放に苦慮するフェイスブックと英国政府の動き』にはさらに詳細な情報が記載されていました。記事によると、Trustpilotは昨年、4670万件以上のレビューのうち、270万件以上の偽レビューや誤解を招く恐れのあるレビューを特定し削除したと発表しており、新たな技術を導入して偽レビューを追跡・排除する努力をしているとしています。またイギリス政府は偽レビューの販売や広告を禁止し、プラットフォーム事業者にレビューの真正性を確認する義務を課す新法案を計画しており、プラットフォーム事業者に対して罰金を科す権限を与える方針だそうです。
まとめ
日本で暮らしていると、想起するレビューサイトといえば、AmazonやGoogleマップ、食べログ、アットコスメ、楽天トラベルなど商品や実店舗に紐づいている場合は口コミを容易に確認できますが、リアル店舗を持たないD2Cブランドの小売業や購入代行、そもそも商品の発送が不要なデジタルコンテンツやチケットサイトなどを販売する企業やサイトの口コミはなかなか確認することができない状況です。Twitter等のSNSで検索したり、ということが多いのではないのでしょうか。
口コミやレビューは人々の心理や消費行動に大きな影響を与えます。レビューを見慣れている方だと分かると思いますが、レビューすべてが正しいとは限りません。商品を購入する際の参考にしつつも、最後は自分の軸で意思決定をすることが重要だと思います。ただ今後倫理的な消費がより重視されていることは、昨今の潮流を見ても明らかです。Trustpilot、もしくはそれに類するような平等・誠実なサービスが日本でも信頼性が高くなり、普及すると良いですね。
Header Photo by Alex Shute on Unsplash