2021年のテーマは ”Coding commerce. Together.”
少し時間が経過してしまいましたが、 「Shopify Unite 2021」が6月29日に開催されました。
昨年2020年は史上初のマーチャント向けライブ配信となったShopify Reunite。コロナ禍のパンデミックのさなかということもあり、「コロナ禍で商売の存続の危機に面している個人商店に対して、Shopifyがいかに貢献できるのか」というメッセージに焦点が当てられていましたが、今回のテーマは”Coding commerce. Together.”。Shopifyの機能追加やアップデートのトピックスが目白押し。個人的には、「え、あの苦戦していたあの部分がこんなに改善するの?」という発表が多く、その進化に驚いた発表でした。
Shopify Unite 2021のトピック
「Shopify Unite 2021」の内容はこちらのYoutubeから閲覧できます(日本語訳付き)。
Shopify Unite 2021は7章立てで、全動画を閲覧すると1時間15分ほどの構成です。長尺だなと感じる方も多いと思いますが、実際の実装方法が動画中で説明されていたりするので、構築に関わらない非エンジニアなどは概要だけ把握して、スキップして見ても良い部分も結構あります。
またShopify Japanの公式ブログでも速報記事が出されているので、そちらをご覧いただくと全容がつかみやすいです。
Shopify Unite 2021 速報:注目の新機能をご紹介
はじめに:Shopifyの3原則とは
この動画の冒頭で、Shopifyの創設者兼CEO トバイアス・トビ・ルーク(Tobi Lütke)がShopifyのガイドとなる3原則を語っており、その3原則が今回のShopify Unite 2021で発表された内容にも色濃く反映されていました。
Shopifyのガイド 3原則(Shopify 3 guide principles)
- “make commerce creative” − 小売をクリエイティブに
あらゆる成功したビジネスには独自性と物語があるとルーク氏は語ります。D2Cブランドに早くから活用されていたShopifyだからこそ断言できることかもしれないですね。 - “make the important easy” − 大切なことをシンプルに
商品や顧客に集中できる環境をつくることがとても重要だと述べています。独立や起業時にはECサイトの構築以外にも重要で煩雑な業務が山ほどあるからです。そのためには簡単にECビジネスを始められることが重要で、そして、市場は国内だけでなく、世界中で販売できることが重要だと述べています。 - “make everything eles possible” − それ以外のものも手の中に
ECサイトを構築し、ビジネスをはじめる工程は、おおよそ同じもの。しかし、既存の設定だけではクリエイティブなサービスを展開するのには限界があるので、当たり前の機能以外も拡張性高く提供したいと言っています。
Shopifyの使命はクリエイターを応援すること
Shopifyの使命はクリエイターを応援することであり、そして、Shopifyの目標は、開発者にパワーを与えると同時にマーチャントがストアフロントを構築するようにすることと何回も繰り返し、プレゼンテーションの中に出てきました。
今までのShopifyはLiquidのソースコードをいじるのも、ある程度の知識が必要でしたし、アプリを導入するにも、想定外の挙動が生じないかどうかなど、テストが必要でした。またソースコードの管理も手動での管理が必要でした。「Shopify=簡単にECサイトが構築できる」というイメージが先行して、日本の商習慣だとあって当たり前の機能がなかったり、外部決済サービスを利用するとトラフィックに耐えられなかったり、デザインをいじろうとしても管理が煩雑だったりと、イメージと現実のギャップに正直苦戦した人・制作会社も多かったのではないでしょうか。私もその一人ですが…今回の発表内容は朗報と思える内容が多く、今後出てくる「Online store 2.0」のShopifyに期待が高まっています。
大規模アップデート”Online store 2.0″
コーディングリテラシーが上がる今後、拡張性の高さはより重要に
発表内容が盛りだくさんなので、今回は、第2章(Chapter 2 Introducing the Online Store 2.0: investing in products for developers)の内容に特化して書きたいと思います。やはりディレクターとして気になるアップデート観点といえば、「デザインの拡張性・自由度・編集の容易性」と「購買体験のUXの進化」ではないでしょうか。今回の第2章では主に前者について言及されています。
今回は”Online store 2.0″と称されるほどの大規模アップデートとして色々な進化・変化が紹介されていました。
私が気になった点としては以下の3点
- デザインテーマが完全にモジュール化
- メタフィールドのメジャーアップデート
- Shopify初のオープンソーステンプレート「Dawn」とテーマ開発のためのGit連携
1.デザインテーマが完全にモジュール化
テーマは完全にモジュール化され、コードを編集しなくても管理画面上から、直感的にブロックを入れ替えるかのように操作できるうようになりました。また、Online Store 2.0ではテーマが独立したコンポーネントになったため、テーマのコードを編集しなくても良く、またアプリ自身がセクションやブロック提供することが可能になったため、今後のアプリの拡張性にも関わってきそうです。
ページごとに複数のテンプレートが用意されており、各セクションはレフトメニューから簡単に編集できます。
こちらが実際の操作風景です。
2.メタフィールドのメジャーアップデート
メタフィールドのメジャーアップデートとは、管理画面上で直接メタフィールドを定義・編集できるだけでなく、エディタ上で直接データソースをセクションにまとめる機能も追加されました。今までのハードコーディングが必要なくなったのです。
3.Shopify初のオープンソーステンプレート「Dawn」とテーマ開発のためのGit連携
「Dawn」とはShopify初のオープンソースのテンプレートで、Githubで公開されており、以下の4つの原則で開発されているそうです。
- 最新のブラウザに対応
- 現状Shopifyにアクセスする90%が最新のブラウザ
- 創造的なビジュアルデザインに焦点を当てた
- プログレッシブエンハンスメントの理念を採用
- 購入フローに注力
- 世界最高水準のUXが自動アップデートされないブラウザでも体験できるように
- 無駄のない保守可能なテーマ
- カードAPIなどのプラットフォームの中核機とAPIを継続的に更新
- 例)カードAPIのコードの行数を数百から20弱までに減少
- パフォーマンス
- テーマ開発者の生産性を向上を目的
- Gitとの完全連携
- Shopify CLIを拡張してより強力なCI統合を実現
個人的には複数サイトを運営していると、デザインテーマに変更を加えるときに、他のサイトのテーマに影響を与えたりしないか、先祖返りしないかどうかなど不安点が多かったテーマ管理がGitと完全連携できると聞き、とても朗報だなと思いました。
パフォーマンスの部分では、ECサイト訪問者が一番最初に目にするページのページスピードを10%向上すると、CVRが7%向上するという結果が出ており、Shopifyではストアの第一印象と重要性を意識しているそうで、現在のShopifyの全ストアは今までの5倍のレンダリング速度を実現しているそうです。
ということで、本当はShopify Unite 2021の全体概要をまとめようと思ったのですが、発表内容が多すぎて、第2章の内容だけで終わってしまいました。