昨日の記事でジェームズ・クリアー氏の「ジェームズ・クリアー式 複利で伸びる1つの習慣」 について書きましたが、その中で習慣化のために心理学や行動経済学を応用していました。
ディドロ効果
ディドロ効果とは「新しいものを入手すると、そのモノの価値に合わせて周辺の所有物や環境をそのモノの価値に合わせて、モノを買い求めてしまうという」行動心理のことを指します。
例えば、新しいアイシャドウを買ったら、他の化粧品が古臭いもののように感じられ、買う予定がなかったチークやマニキュアまで買ってしまう、といったような行動です。洋服を試着するときも、スカートだけ欲しいのに、トップスやネックレスまで試着させてくれるお店もそういう心理を利用しているのでしょうね。
ディドロ効果の由来
この「ディドロ効果」の名前の由来は、フランスのディドロ(フランスの哲学者、美術批評家、作家)の娘の婚礼費用にまつわるエピソードから来ているそう。ディドロは当時、もっとも有名な百科事典の一つの「百科全書」の共同編集者・執筆者として有名で、ディドロが婚礼費用で困窮しているという噂を聞いたその「百科全書」のファンである、なんとロシアの有名な女帝エカテリーナ2世(エカチェリーナ2世)から金銭の支援があったらしいのです。その金銭は娘の婚礼費用以上のもので、ディドロは自分用に真紅のローブを購入したのですが、その真紅のローブと比べると、自身の衣服や家具、調度品がみすぼらしく感じられてしまい、その後自分の所有物を次から次へと高級なものに買い替えてしまったそうです。
人間の行動サイクルはディドロ効果に従っている
本書では人間の行動サイクルは、ディドロ効果のように連鎖していることが多いので、そのサイクルの古い行動の上に、新しい行動を積み上げること(=習慣の積み上げ)で、習慣化されやすくなると記載されています。
- 習慣1)現在の習慣をしたら → 新しい習慣をする
- 習慣2)現在の習慣をしたら → 新しい習慣をする
- 習慣3)現在の習慣をしたら → 新しい習慣をする
- 習慣4)現在の習慣をしたら → 新しい習慣をする
私は「習慣が積み上げやすい」という側面だけでなく、「習慣とは自分のアイデンティティーを示すもの」とも大きく関連していると思います。上述のディドロの消費行動のように、良い方向の習慣を揃えて、良いアイディティーを持っていることを見せたい、という心理も強く機能するのではないのかなと思いました。
マーケティングで応用されるディドロ効果
- IKEAやニトリなどのショールーム(統一されたインテリアは人間の「一貫性の原理」を刺激する)
- ハイブランドのバッグや財布を購入すると、その周辺小物もハイブランドで統一したくなる
- Apple製品を購入し始めると、デザイン性・統一性の良さから他社製品を取り入れづらくなる
- 無印良品ですべての収納グッズや日用品を揃えたくなる
ディドロ効果はオタクの心理をくすぐる?
ディドロ効果は、保有効果やツァイガルニク効果にも密接に関連していて、例えば以下の販売促進活動にも応用されていると考えられます。
- スマホゲームの限定ガチャ(全キャラを揃えたい)
※ソーシャルゲームのコンプガチャはユーザーの射幸心を異常なまでにあおり、社会的問題にもなったので、景品表示法・景品規制などを遵守して利用しないといけないですが… - アニメやアイドルの缶バッチ・アクリルキーホルダー(交換会を開催したり、SNS上での取引も見受けられますよね)
- 漫画全巻を揃えたい
まとめ
ディドロ効果は消費行動においては慎重に付き合っていかなければならないものですが、習慣の積み上げ、自分の行動を変化させるには、とても良い心理効果ですね。
エカテリーナ2世と文通相手だったらしいディドロさんもすごい…