アドビが連邦取引委員会から調査。ダークパターン規制は今後も強化される?

先日、アメリカの連邦取引委員会がアドビのキャンセルルールに関する調査を行っているというニュースが報じられましたね。

US Regulators Are Investigating Adobe Cancellation Rules

Adobeと言えば、解約しようとすると、半額の金額がオファーされたり、2ヶ月分の月額利用料が減免されたり、という一種のハックが昔から話題になっていました。しかし、今回の報道で対象になったのは、Adobeのソフトウェアのサブスクリプションのキャンセルルールに関して取り上げられました。具体的には、PhotoshopやPremiereなどのアプリケーションを利用しようと、トライアルを申し込むと、年間契約のトライアルの申し込みに同意したことになり、2週間以内にサブスクリプションをキャンセルしないと、全額返金を受けることができずに、キャンセル料が発生するという仕組みです。私もAdobeで「Creative Cloud コンプリートプラン 100GB」を年間契約しており、解約しようと思ったときは、大体が時すでに遅しで、契約更新日を過ぎていることが多いのですよね。そのため、前述の解約しようとすると割引になるパターンは何回も、そしてつい3ヶ月前も活用しており、UXパターンとして把握していたのですが、今回調査のメスが入ったトライアル期間後のキャンセルルールについては知りませんでした。SpotifyやNetflixなどの他のサブスクリプションサービスでは、このようなキャンセル料は発生しません。サービスの解約はしにくいもの、というのが一昔前まで当たり前だったのですが、特にNetflixは解約しやすいUXでユーザーの信頼を得ており、この点が利用者に好評です。

Bloombergの記事によれば、Adobeは連邦取引委員会と協力し、和解が成立すれば「著しい金銭的負担や罰金」が発生する可能性があると記載しています。解約を試みると割引が提示される仕組みには、知っている人しか享受できない不公平感があり、サービスとしてあまり好きではないと感じていたので、今後どのように改善されるのか気になります。バイデン大統領も「企業はしばしばサービスから解約することを難しくし、アメリカ人の時間とお金を無駄にすることがあります」とXで言及しており、この問題に対する社会的な注視が高まっています。

オンラインサービスやウェブサイトで見られることが多く、ユーザーにとっては不利益な結果を招くことがある、ダークパターン。この事例は、ダークパターンと呼ばれる意図的で欺瞞的なUXが企業の利益のためにユーザーを誘導する典型的な例と言えるでしょう。

この記事を書いた人

Riliのアバター Rili プロダクトマネージャー

都内在住の30代女性・IT企業勤務。サービスを作ることが好きなリモートワーカー。「人生はグラデーション」を掲げ、自由な働き方と生きやすい社会を模索する日々を綴ります。

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